パスタのゆで汁を入れる理由を知ると料理が楽しくなる

パスタを作る時に加える「ゆで汁」。ソースとパスタをなじませたり、塩分を追加したりする目的以外にも、野菜を茹でたり、なんと食器洗いや角質落としなんかにも使えるのですが、その理由を知ると料理が  ” ちょっと ” 楽しくなるかも。
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レシピ通りにフライパンに加える「ゆで汁」は、塩分やとろみを加えているんだなーとは思いますが、ゆで汁は実際にどんな仕事をしてくれているのでしょうか。

(※追記編集済み)
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パスタのゆで汁に含まれるたんぱく質とでんぷんが大活躍

パスタの原料は小麦粉です。

シチューを作るときにとろみをつけるために小麦粉を使いますが、これは小麦粉が「乳化」の役割をしてくれるから。

乳化というのは、混ざりにくい両極端のものが混ざり合うこと。(例えば水と油)

そして乳化剤というのは、水と油の乳化で考えた場合、水にも油にも混ざる性質のモノのこと。

パスタには、ペペロンチーノなど、ゆで汁を加えて作るレシピもありますが、ここで活躍しているのが、パスタのゆで汁に溶けだした小麦粉のでんぷんたんぱく質(グルテン)なのだそう。
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でんぷん(糖質)は高温になると、のり状になってトロミになりますが、このとろみがソースのつなぎの役割にもなっています。

そしてタンパク質というのは親油性(油と混ざる)と、親水性(水と混ざる)があり、その乳化作用はとても安定しているのだそう。

タンパク質はうまみ成分であるアミノ酸で構成されていますから、それが溶けだしたパスタのゆで汁には微量ですがうまみ成分も入っていると考えられます。さらには塩を入れて茹でているため、塩味がして茹で汁自体が美味しいのです。

もしも高温のオイル主体のソースにパスタを加えたら・・・揚げ物の様になったり、油でギトギトになって油っぽい味で終わってしまいますね。

つまり、パスタの場合、オイル主体のソースとパスタを合わせる時には、この素晴らしい茹で汁を加える事によって、適度にサラサラの水と油のゴールデンバランスが生まれることに。

油たっぷりのマヨネーズがあんなに美味しいのは卵黄のレシチンが乳化剤となることで、卵黄・酢・油などが混ざり、絶妙なハーモニーが生まれているからです。

 

また、小麦粉に含まれると言われているサポニンには天然の界面活性剤の作用があるそうです。界面活性剤というのは、「水にも油にもなじみやすい物質の総称」とのこと。このあたりも、パスタと、オイルを含むソースをなじませてくれるポイントなのかもしれません。

界面活性剤は油を浮き上がらせて水の中に取り込む性質でもあり、汚れ落としにも効果を発揮するのだとか!イタリアなどではパスタのゆで汁を汚れたお皿を洗うのに使うのがめずらしくないそうで、例えば日本で言う米のとぎ汁のように使われているんですね。
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ただしパスタに含まれるサポニンは含まれていたとしてもあくまで「わずかな量」らしく、微量なサポニンの界面活性剤の効果だけで食器の油が落ちているとは実証されていない様です。(追記:そもそも小麦粉にサポニンが含まれるかどうかも不明)

ともあれ、先ほどのタンパク質の乳化作用や、でんぷんの粘着性が汚れ落ちを手助けしているのかもしれません。

また「塩」と「高温」がかなりの割合でいい仕事をしているはず・・・

いずれにしても良く落ちるため、古くから本場イタリアでは食器洗いに使われているんですね!

さて、ここで新たな疑問が湧きます。親水親油がある点では乳化剤と界面活性剤って一緒じゃないの?という疑問です。答えはそのとおりで、「乳化剤と界面活性剤は作用は一緒」なのだそう。作用は一緒だけど、食品に用いる場合は「乳化剤」がメインで、安全性が高く食品添加物として認められているものを乳化剤として食品に使用するとのこと。パスタのゆで汁に含まれるかもしれないサポニンについては、もともと自然にサポニンが含まれているかもしれないよーそしてその場合、汚れを落とす役割を果たすかもしれないよーというだけの話のようです。

足のかかとの角質落としにも♪
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パスタを茹でる時に塩を入れる理由

塩を入れる理由について調べると、本当に沢山の説が出てきます。

沸点が上がる?

沸点を上げるという話もありますが、実際にはそれほど温度は上がっていないし、わずかに沸点が上がったところで特に何かが変わる事は無いという意見も。

コシが出る?

塩を入れて茹でるとコシが出ると言う話もあります。パスタの原料であるデュラムセモリナはグルテンが多く、グルテンは水と合わさると粘着性が出るのだとか。この時塩も加わると塩に含まれるにがり(塩化マグネシウム)のタンパク質凝固作用によってさらに粘着性が増すという考えも。(にがりは精製された食卓塩よりも天然の塩、特に海塩に多く含まれる)

しかしこのタンパク質凝固作用というのは、塩分濃度がかなり高くないといけないようで、パスタを茹でる時の1%や1.5%程度の塩分濃度では化学的に意味をなさないという説もあるようです。管理人はこのコシが出るという点はあれこれ調べても理解できませんでした。

伸びにくくなる?

このグルテンと塩が結合した時にパスタが伸びにくくなるという話もあれば、逆に水だけで茹でた時の方が一時的に伸びにくいという話も。

天然の塩を使った方がいい?

本場イタリアの場合は、水質が硬質でカルシウム量が多く、パスタのでんぷんと結合してコシが増すという話から、日本のように水質が軟質の場合はカルシウムなどのミネラル成分の多い天然の塩で茹でるプロの方もいるのだとか。

このように塩を入れるのには諸説ありますが、一番はっきりしているのが

塩味を付けるため」という事。

塩味を付けるため?

でもここで1つ、
「塩分はソースに濃いめに付けたっていいじゃない?」という疑問が・・・。
なぜパスタ自体に塩分を付けるのでしょうか。

ここから先は完全に管理人の想像です。

コンビニのおにぎりの多くが、米自体に味が付いていますが、味が均一になってどこを食べてもおいしいんですよね。

外側に塩を付けたおにぎりも美味しいですが、まんべんなく塩味が付いたコンビニのおにぎりは、口に入れた瞬間、良く噛まなくても、いとも簡単に口の中で塩分を感じられます。(ちなみにおにぎり用の塩味のお米は、昆布と塩を入れて炊くとうまみUPで美味!そしてお米の粒がつぶれないように軽くまとめる程度に握ります。好みですが・・・)
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パスタも塩を入れて茹でることで塩分が均一に付きます。

パスタはあまり良く噛まないため、もしもパスタ自体に塩味が無ければ塩味をまんべんなく感じられるようにすることが、おにぎりよりもはるかに難しいと思うんです。

塩を入れないでソースの塩分を上げると、ソースが塩辛くてパスタに味が無いです。ゆで汁にも塩分がありません。塩味の無いパスタと塩辛いソースを絡めたときに待っているのはなんだかちょっと統一感の無いアンバランスな味・・・

日本のお茶漬けは、ご飯自体に味が無くても、暖かいお茶や出汁をかけることで、さらさらと口に運ばれて、淡白なお米の味と濃厚な具の味や油などが絶妙にマッチして、それはそれで味のメリハリが美味しく感じます。この場合、のど越しなど、総合的なバランスで。
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しかしパスタに関しては、塩を入れてパスタを茹でてパスタ自体に味が付いていると、ソースと混ぜたときのバランスがとても良い感じの仕上がりになると感じました。(ソースの種類や好みによるかもですが)

料理もバランスですね。

 

さてさて、

味が均一に付いていると美味しい食べ物といえば
かき氷もその1つ!

こういう商品↓だと
味が均一で、コンビニで買えて、しかもふわふわしていて最高ですよね。
「セリアロイルのかき氷」!
激ウマだから食べてみろと友人に勧められてセブンで買いました。

九州名物って書いてあるってことは、九州ならスーパーでも買えるのでしょうか?とにかく簡単に手に入る地域にお住まいの方がうらやましいです。練乳かけてもすごくおいしい。

 

そうそう、たとえばキャベツの炒め物をする時も、軽く塩もみしたキャベツを使うと味が均等の炒め物が出来上がりますよね。

 

おにぎりで白米に均一に味をつけておきたい時、塩以外だと、たとえば梅酢を混ぜ込んだおにぎりも味わいがありますね。程よい酸味もおいしい。赤のシソ梅酢ならピンクも楽しめるし。

(参考サイト:Wikipediaフリー百科事典「界面活性剤」「両親媒性」)

 

料理がおいしくなる塩、砂糖、油

おそらく料理というのは「塩分、甘味、油」がそろうと、いとも簡単にうまみを感じられ、おいしくなりますが、先ほどのパスタのゆで汁にはすでに塩分とうまみが入っています。さきほどの塩味がまんべんなくついたコンビニ等のおにぎりにも油が添加されているのだとか。美味しいはずですよね。

もちろん塩だけで素材の味を楽しむ料理もありますが、それは塩味をつける以外に素材自体のうまみを引き立てる目的も。結局素材の甘味なりを引き出しているんですね。
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家事には料理派と掃除派があるという話を聞きますが、管理人は確実に掃除派。料理にはまったく興味がなかったんです。

しかし「塩分、甘味、油」を意識し始めてから、なんだか味が物足りない場合のみ、足りないモノだけ加えるようにしたところ、なんだか料理がおいしくなって、料理がおっくうじゃ無くなりました。

「パスタのゆで汁」も、塩分とうまみとトロミを追加できる大切な調味料だと思えば、ゆで汁を加える工程がめんどうじゃ無くなったんです。

パスタをゆでた後はこの美味しいゆで汁で野菜を茹でる人も。
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ところで、毎回名前のある料理を作っていると、料理が全然楽しくない時がありませんか?だからと言ってレシピを作っちゃう人のように作れるわけじゃないんですが、たまに適当に食べられるものを創造出来た時感動しますよね。

まとめ

パスタに茹で汁を入れると、ゆで汁に溶けだしたたんぱく質とデンプンの作用でパスタとソースが絡みやすなり、適度なオイル感の美味しいパスタに仕上げることが出来ます。
(※茹で汁を加えるかどうかはパスタのレシピによる)

こうなると、もう「ペペロンチーノに茹で汁を入れないなんて有り得ないわ!」という頭になって、料理の工程の1つ1つがとても大切で楽しいものになるかもしれません。

 

この記事の担当者
ジム・フリー

ちょっとだけ困難な山を越えてきました。今やっと原点にかえって人生再建中。バランスを取り戻しています。

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